寄付金を多く集めるには【学術的根拠あり】

皆さんこんにちは伊勢です。

このブログではビジネス、教育、恋愛など皆さんの身近にある現象について心理学的に考察していきます。

今回のテーマは少しビジネス寄りになりますが、

「寄付金を多く集めるには」というテーマでお話しします。

読者の中にはご自身で商売をされていたり、寄付金とまでは言わないまでも会費や貯金、募金等々、ある一定の金額を集めるために苦労した経験をお持ちになられる方もいると思います。

なかなかお金を他人から集めるのはストレスだったり、プレッシャーだったり、なかなか良いイメージを持ちづらいのも正直なところです。

例えば、寄付を募る時(募金活動やクラウドファンディングなど)、何が違うと寄付金の額に影響があるのでしょうか?

寄付金を多く集める企画の違いはどこにあるのでしょうか?

テーマやキャッチコピー、リターン(赤い羽根や商品等)などなど、いろいろあると思いますが、ここではお「金の集まり具合の違いの示し方」によって寄付金の集まり具合が違うという研究を紹介します。

 

ジョンら(2002)は寄付金を募る際、寄付金の集まり具合をどの程度公開すれば、寄付金が集まりやすくなるのかを調査によって明らかにしました。

 

【実験内容】
① 1台3000ドルするコンピュータを買うお金の寄付を募る。
② お願いの方法を5つのパターンに分けた。

a. 費用の10%は調達できている

b. 費用の33%は調達できている

c. 費用の67%は調達できている

d. お金が集まらなかったら組織の活動資金にする

e. 資金が集まらなかったら返金する

③寄付金を募る際のお願いの仕方を変えることによって、寄付金の集まり方に違いは出るのか?

 

実験結果
①結果として、「 c. 費用の67%は調達できている」とお願いする方法が最も寄付金を集めた。
②寄付者に対して寄付しやすい金額をあらかじめ見せておくことを「種銭(シードマネー)」という。

 

寄付金を募る内容も金額も一緒であるにも関わらず、寄付金がどのぐらい集まっているかを提示するだけで寄付金の額が違ってくることは内容や額はもとより、

「この企画はどれぐらい集まると成功するのか」

自分の寄付金によってこの企画が成功するかもしれない

というような期待感や、責任感にも似た感情で人間は寄付をしていることがわかります。

人間の行動の意思決定は最終的には「感情」です。

この感情を揺さぶれるような「後押し」のことを「シードマネー」と呼びます。

うまくシードマネーを活用することができれば寄付金の額は多くなります。

もちろんシードマネーの存在だけが寄付金の額決める唯一の要因とはなりませんが。

しかし、同じ企画であっても条件が違うことで、人間の行動が変わってくるという事実は心理学を学んでいてとても興味深く大きな発見です。

何かビジネスを行っている人は価格設定をする際、価格の高低だけでなくシードマネーについても考えられるとより価格設定が行えると思います

皆さんの学びに少しでもお力添えができるよ私も研究の日々です。

 

 【参考文献】

シードマネーについての文献は

John A. List and David Lucking – Reiley(2002)The Effects of Seed Money and Refunds on charitable Giving : Experimental Evidence from a University Capital Campain. Journal of Political Economy(110). pp.215-233.