ギャップは本当に好印象か【心理実験からみる好感度】

こんにちは伊勢です。

このブログではビジネス、教育、恋愛など皆様の身近に起こる様々な現象を科学的に説明していきます。

今回のテーマは「ギャップが本当に好印象なのか」についてです。

ギャップが好印象につながる事は、恋愛の世界において当たり前のことのように言われてきました。

アニメの世界でも、ちょっと生意気な後輩の男の子が帰り道に捨て猫と戯れているところを見てキュンときちゃったなんてシーンも見たことがあります。

ギャップというのは本来「隙間」という意味です。

コミニケーションにおいて、特に見た目やその人の能力と実際の行動において幅が大きいことが好印象につながると言われています。

具体的に言えばイケメンなのにギャグばっかり言う、学歴が高いのにドジばかりする、仕事ができるのに料理はできない、具合です。

ではこのギャップは誰が、いつ、使っても好印象を得られるのでしょうか。

このギャップについては使うタイミングや相手が自分に対してどういう印象を持っているかによって好印象なのか悪印象なのか決まってくるようです。

それではギャップについての研究を見ていきましょう。

ギャップを見せることは本当に効果があるのかをアロンソンら(1966)は「ギャップ好感度実験」によって明らかにしました。

 

【実験内容】
①実験参加者は、ラジオから流れてくるクイズ番組を聴収し、その回答者に対する好感度を評定する。
②解答者は「秀才(全問正解)」と「普通の人(3割ほど正解)」の2種類。
③クイズ終了直後のふたりの好感度はかわらない。
④クイズ後のラジオ中、両回答者がコーヒーをこぼす。
⑤ラジオ終了後、実験参加者は、それぞれの回答者に対する好感度を評定。

【実験結果】
①コーヒーをこぼした後の評価は、秀才は上がり、普通の人は下がった。
②自虐ネタやギャップを見せることは相手が自分に好意的な印象を持っていれば効果がある。
③逆に自分に好意的ではない、もしくは無関心の相手に自虐ネタやギャップを見せても効果がないどころか、評価を下げてしまう危険性がある。

 

この研究から、ギャップは相手から見て少し憧れるようなプラスの要素(外見的魅力がある、頭が良い、仕事ができる等)がある場合、マイナスのギャップが好印象につながることがわかります。

したがって、逆にもともと相手から見てあまり良い印象でない人がマイナスのギャップを見せたとしてもただただ悪い印象になるだけです。

なのでギャップを見せれば好印象を得られるという安易な考えは捨てて、まずは相手にとって自分が良い印象を得られるようにコミニケーションをとることが大切です。

そこからギャップを見せる意味が出てくるのです。

大事なのは科学的な根拠です。

これまで言われてきたなんとなくの知識が皆さんにとって確信的な経験になるようにお手伝いができれば幸いです。

 

【参考文献】

Aronson, E., Willerman., Floyd, J.(1966)The effect of a pratfall on increasing interpersonal attractiveness. Psychonomic Science.4.pp.227-228.