緊張はそこまで伝わっていません【科学的根拠あり】
こんにちは。伊勢です。
本ブログでは教育、ビジネス、恋愛などみなさんの周りにある身近な現象を心理学的に考察していきます。
今回は「緊張は相手に伝わりやすいか」について心理学的に考察していきます。
好きな人を目の前にしたり、仕事で大事なプレゼンがあったりするときに緊張する人も多いと思います。
緊張してつい好きな人の前で思ってもみないような行動をとってしまったり、仕事で何も話すこと話すことができなくなったりする事はありませんか?
自分の緊張が相手にも伝わってしまいうまくコミニケーションを取れないと言う方もいらっしゃいます。
ただ、心理学の世界では自分の緊張はさほど相手には伝わっていないという研究結果が出ています。
ここで遠藤(2007)の研究をご紹介します。
遠藤(2007)は自己紹介をする人の緊張はどれくらい聞いている人たちに伝わっているのかを調べるために実験を行いました。
【実験内容】
①参加者がみている前で1分ずつ自己紹介をする。
②自己紹介した人は自己紹介のあと、「自己紹介を聞いている人は自分がどれくらい緊張していると思ったか」について回答する。
③自己紹介を聞いた人は「自己紹介をした人はどれくらい緊張しているか」について回答する。
【実験結果】
①自己紹介をした人は「自分の緊張は伝わっている」と回答し、聞いていた人は「それほど緊張していない」ように見えていることがわかった。
②自分が思っているほど緊張は相手に伝わっていない。
③これを「透明性の錯覚」という。
この実験により人間は相手が思っている以上に自分の緊張の度合いを高く見積もってしまう傾向があることが分かりました。
我々人間は言葉を使い相手に情報を伝えたり、コミニケーションを取ったりします。
緊張はもとより、考えや情報は口にしないとなかなか伝わらないこともこの研究から言えると思います。
壊れるほど愛しても3分の1も伝わらない
SIAM SHADEの曲であったように緊張の度合いはこちらが思っているほど相手には伝わっていません。
緊張しやすい人の感情が表に出やすいと思って悩んでいる人も少し安心できる研究結果になっていると思います。
心理学は皆さんの身近にある現象を学術的に読み解いていく学問です。
感覚的に分かっていたような現象が科学的に解明されると、自信がついたり、安心できたりします。
私も皆さんの自信や安心のために日々勉強の毎日です。
【参考文献】
遠藤由美(2007)自己紹介場面での緊張と透明性錯覚, 実験社会心理学研究, 46, pp.53-62.