いじめの根本的な原因を考察【科学的根拠あり】
こんにちは伊勢です。
本ブログでは教育、ビジネス、恋愛など皆さんの周りにある身近な現象を心理学的に考察していきます。
今回は「同調圧力」についてのお話です。
皆さんは「周りの空気を読まないといけない」とか「自分ではおかしいと思っていても周りの人に合わせなきゃいけない」のような心苦しい経験をされた事はありませんか?
この「空気を読まなきゃいけない」、「周りに合わせる」現象は周りの環境によって起こされている可能性があります
自身の考えとは裏腹に、周りに作られた環境が人の考えや行動を変えてしまうことを実証した興味深い研究があるのでご紹介します。
多数派の意見が少数派の意見を変えてしまうことアッシュ(1966)モスコビッチ(1969)は実験用により明らかにしています。
【実験内容】
①実験対象者は自分がみているカードにかかれている棒の長さと同じ長さの棒をもう一枚のカード(カードの中にはA,B,Cの3種類書いてある)から選択する。
②対象者は正解の記号を答えるが仕掛け人の集団は明らかに違う記号を正解だと答える。
③仕掛け人が多くなった時、実験対象者の意見は変わるか。
【実験結果】
①仕掛け人の集団が一致して間違った答えをした場合、対象者の80%以上の人が少なくても1回以上その答えに合わせて、自分の答えを間違った答えに訂正した(これを同調行動という)。
②仕掛け人が1,2人であれば対象者は同調行動をとらなかったが、仕掛け人が3人になると同調行動の効果が大きく変わることがわかった。
自分の考えとは関係なしに、周りの環境に考えや行動を合わせてしまうことを「同調行動」といいます。
この研究では、明らかに間違ている答えであっても3人以上が賛同すると、間違った答えでも正しい答えを言っている人の考えを変えてしまうことを明らかにしました。
これは現代社会でも同じことが言えると思います。
周りがそう言っているから周りに合わせて考えを変えてしまう。
よくないと分かっていてもいじめに参加してしまう。
自身の考えや思いとは裏腹に良くない方向に自分を巻き込んでしまうのはとても辛いことです。
ただこの実験では副産物として以下のような結果も得られています
@仕掛け人が多くても、その中に1人でも対象者に激しく同意してくれる人がいると、同調行動は起きなかった。
つまり自分に賛同してくれる人が1人でもいれば強い意志を持って自分の考えや良いとする行動を表現することができるのです。
誰か1人でも味方になってくれることでその人が救われるのです。
勇気を持って声をかけたり味方になってあげられることも可能ではないでしょうか。
少しでも皆さんの勇気ある行動の手助けになれるような研究結果になってるかなと思います。
私にできる事は研究者として、皆さんのプラスになるような科学的な知識を提供することにあります。
皆さんの自信や安心のために日々勉強の毎日です。
【参考文献】
同調圧力に関する研究は
Moscovici, S., Lage, E,. & Naffrechoux, M.(1969)Inflience of a consistent minority on the responses of a majority in a color perception task. Sociometry, 32, 365-380.
Asch, S. E.(1951)Effects of group pressure upon the modification and distortion of judgments. In D. Cartwright & A. Zander(Eds.), Group dynamics. Harper, 151-162.
Asch, S. E.(1966)Opinions and social pressure. In S. Coopersmith(Ed), Frontiers of psychological research.Freeman.