才能教育の決定版【学術的根拠あり】

こんにちは伊勢です。

このブログではビジネス、教育、恋愛など皆さんの身近に起こる現象を心理学的に考察していきます。

本日のテーマは「才能開花」についてです。

皆さんは「才能」と聞くとどんなイメージをもちますか?

生まれ持って備わっているもの。

努力ではどうにもならないもの。

運によって手に入れられるもの。

自分には才能なんかないと落ち込んでいる人も多いと思いますが、最近の研究では才能は生まれもったものよりも、環境によってその才能を獲得し開花させる方が圧倒的に多いことが明らかになっています。

例えば才能開花における研究として、とても有名なのは1万時間の法則です。

ある物事を1万時間続ければ誰でも才能が開花してプロフェッショナルになれるというものですが、これは少し語弊があります。

才能開花において先進的に研究をしていたのがブルーム(1985)とエリクソン(1993)です。この2人の研究によって才能教育の研究は一気に加速度を上げました。

では2人の研究による才能開花における条件を見ていきましょう。

 

【才能開花に必要な条件とは】
①才能を開花させるためには、特定の分野に対して高度に洗練された練習活動(deliberate practice)を行う必要がある。
②そのdeliberate practiceを1万時間行えば才能を開花させることができる。
③deliberate practiceを1万時間行うには適切な目標設定と支援が必要である。

 

ここで大切なのはただただあることを1万時間行うだけでは不十分だということです。

1万時間というのは非常に長い時間です。

1日3時間毎日練習したとしても10年かかる計算です。

例えば野球が上手くなりたいとしたとして、素振りだけを毎日3時間を10年続けたとしても本当に上手くなるでしょうか?答えは「ノー」です。

野球が上手くなるためには走力も筋力も鍛えなければいけませんし栄養面や心理面からも鍛える必要があります。

つまりその人が才能を開花するために必要な環境を設定することが必要なのです。

もちろん練習活動はただただスキル獲得に向けた活動だけではありません。

私が昔、研究対象としていたやり投げの全日本学生のチャンピオンの男の子がいました。

彼は朝起きてまず自身の投げのイメージを作り、その日一日中歩く時の足の設置や体のひねりなどずっと動きを意識していました。

使えそうな動きがひらめいたら即座にメモを取り練習で試していました。

夜寝る前はその日行った練習の復習をして良いイメージを持ってベッドに横になるそうです。

彼にとっては寝ている間も含め24時間自身の競技と向き合いスキルを獲得した結果、日本一まで登りつめた言えるでしょう。

こういう話を聞くと、才能を開花させたと思っている人たちは誰よりも努力をし、誰よりも犠牲をはらって今に至っています。

そういう人たちに対して、

あいつには才能があったからあそこまでいけたんだ。

と、軽々しく思うのはむしろ失礼なことかもしれません。

 

努力は必ず報われる

 

という言葉がありますがますが、これには少し言葉を足さないといけません。

 

適切な支援と環境設定と方向性を伴う努力は必ず報われる

 

誰しもが持ち得る才能開花をさせられるような情報提供もしていけたらいいなと私自身思っています。

 

【参考文献】

① 1万時間の法則については

Bloom,B.S.(1985)Developing talent in young people. New York : Ballantine.

② deliberate practiceについては

Ericsson, K, A., Kramp, R, T., and Clemens, T, R.(1993)The role of deliberate practice in the acquisition of expert performance,Psychological Review 100(3):363-406 .