親の意見となすびの花は千に一つの無駄はないのか?【スリーパー効果から読み解いてみる】

こんにちは伊勢です。

このブログではビジネス、教育、恋愛など皆様の身近に起こる様々な現象を科学的に説明していきます。

今回は少し趣向を変えて、日本に昔からあることわざについて考察していきます。

皆さんは

「親の意見と茄子の花は千に1つの無駄もない」

ということわざをご存知ですか。

茄子は花が咲くと必ず実をつけることから、親の意見には何一つ間無駄がないと言う意味のことわざです。

私は昔、親の意見と茄子の花は「万」に1つの無駄もないと教えられ、学生時代に親の意見聞きすぎじゃないかとからかわれた思い出があります。

年頃になると親や先生の言う事は聞き入れ難く、友達や信頼する先輩の意見など心理的な抵抗が少ない人の話を聞きたくなるものです。

親や先生が自分のことを思っていてもなかなか心理的な抵抗があり意見を聞き入れにくいというのも事実だと思います。

ここで質問ですが、親の意見や教師の言うことよりも友達や先輩の言っていることの方が実際に自分のためになっているのでしょうか?

これについては心理学的に「スリーパー効果」と呼ばれ、最終的には「話す内容」が「誰が話す」よりもその本人に影響与えることがわかっています。

それではスリーパー効果についてご紹介します。

 ホブランド(1951)は話し手の信頼性と内容の受け入れに違いがあるのかを「スリーパー効果」によって説明しています。

 

【スリーパー効果】
①同じ内容でもの話を聞いた直後は信頼の高い人の話は受け入れられやすい(行動が変わりやすい)。
②しかし、しばらくするとその話の影響知力は減少し、もとの意見の方に戻って影響が少なくなる。
③結局は話をする「人」よりも「内容」の方が聞き手に影響を及ぼすことになる。

 

スリーパー効果は、最初に聞く人によって抵抗が違くても、最終的に影響を及ぼすのは内容であることを説明してくれます。

確かに私も学生時代、先生や親に言われた事は少しわずらわしく感じ、あえて抵抗もしていました。

しかし、今になるとあの時先生が言っていたことや親に言われた事は間違ってなかったかもしれないと思うようにもなりました。

本当に自分のことを思って意見をしてくれる人の内容は、必ずご自身に影響も良い影響もたらしてくれます。

私も誰かに良い影響与えられるような意見や情報提供ができるように、日々努力して参ります。

皆様の学びに幸あれ!

 

【参考文献】

スリーパー効果についての研究は

Hovland, C. J., & Weiss, W.(1951)The influence of source credibility on communicasion effectiveness. Public Opinion Quarterly.15. pp. 635 – 650.

テキスト学習の決定版【SQ3R法】

こんにちは伊勢です。

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今回は「テキスト学習の決定版」というテーマでやっていきます。

皆さんは勉強をする時、教科書を読んだり、本を読んだり、パソコンで動画を見たりしながら勉強すると思います。

学習効率の良い勉強の仕方はいろいろありますが、今回はテキストを用いた際の勉強方法についてお話ししていきます。

テキストを使った勉強法については1961年にロビンソンが開発した「SQ3R法」という理論があり、効率的に勉強するにはこちらがとても有効になります。

それではスリーSQ3R法をご紹介します。

自分でテキストを読解して学習するときに効果的な方法として、ロビンソン(1961)は「SQ3R法」を提唱しています。

 

【SQ3Rとは】
① S(survey): 要点の把握
② Q(question): 学ぶ内容に関連する問いを考える。
③ R(read): Qに答えられるようにテキストを読む。
④ R(recite): テキストを読み終えた後、テキストを見ずにQに答える。
⑤ R(review): テキスト内の要点を関連付ける。

 

私の経験上、大抵の人は①の「S」の部分だけで終わっているような気がします。

学習と言うのはある1個の事柄を記憶するのではなく、その1個の事柄からいろいろなことを関連付けて覚えることに意味があります。

このSQ3R法は最初は1人で行うのは難しいかもしれません。

友達や家族、先生と一緒に楽しみながらSQ3R法を実践できると皆さんの学習もより質の高いものになります。

せっかく勉強するのですから、効率よく楽しく学びましょう。

皆さんの学びのお手伝いができれば幸いです。

 

【参考文献】

SQ3R法についての研究は

Robinson, F. P.(1961)Effective study. New York: Harper & Brothers, Publishers.

 

 

 

【研究で明らかになった!】社長はアソコがでかい

こんにちは伊勢です。

このブログではビジネス、教育、恋愛など皆さんの身近に起こる様々な現象について心理学的に考察していきます。

今回のテーマは「社長はアソコがでかい」です。

皆さんは社長になるような人にはどのような特徴があると思いますか。

経営のセンス

クリエイティブな発想

豊富な資金

会社を経営する人はいろいろな能力と努力があって事業を継続させています。

会社を経営経営するのに必要な能力はたくさんありますが、社長になる人の身体的な特徴もあるようです。

今回は社長の身体的特徴についてお話しします。

昨今の研究によると、社長になるような人は身体的な特徴として「アソコが大きい」という特徴があげられるそうでそうです。

一般的にはあそこが大きい事はもしかすると恥ずかしいことかもしれませんが、経営の世界ではもしかすると誇るべきことなのかもしれません。

それでは社長の身体的特徴を研究したものがありますのでそちらをご紹介します。

エレウィン(2011)は業績の良い企業のCEO(最高経営責任者)の身体的な特徴を調査によって明らかにしました。

 

【調査内容】
①対象はアメリカの優良企業500社.
②各企業のCEOの顔写真の顔の横と縦の比率を調べる.
③加えて、各企業の利益率も調べる.

 

【調査結果】
①顔の横の比率が大きい(顔が大きい)CEOが率いる企業の方が、業績が良かった。
②顔が大きい人は経営に必要な要素(判断力や観察力など)を持ち合わせている人が多い可能性がある。

 

いかがでしょうか。

今回の「アソコ」というのは「顔」のことです。

業績の良い企業の社長は顔が大きいことが調査によって明らかになりました。

いろいろな考察はあると思いますが、顔が大きい方が主義、主張が通りやすいことも顔の大きいことによる利点かもしれません。

今回は社長の身体的な特徴について書きました。

しかし、会社を運営するのは身体的な特徴だけでなく、勉強や努力も必要です。

日々の努力を怠らないことが事業継続につながっていくのです。

特にビジネスやコミニケーションなど会社経営にとって大切な心理的なスキルもたくさんあります。

それについてはまた次の機会でお話しさせていただきます。

皆さんの学びに少しでもお役立ていただければ幸いです。

 

【参考文献】

エレウィンの研究は

Wong, E. M., Ormiston, M. E., & Haselhun, M. P. 2011 A face only on investor could love: CEO’s facial structure predicts their firm’s financial performance. Psychological Science, 22, 1478-1483.

キャッシュレス化はお得か【現金を使うことの心理的抵抗】

こんにちは伊勢です。

ですこのブログではビジネス、教育、恋愛など皆さんの身近に起こる様々な現象を心理学的に考察していきます。

今回のテーマは「現金支払とキャッシュレス化」についてです。

皆さんは現在モノを買うときや何かサービスを受けるとき現金で支払いをしていますか?

現在はキャッシュレス化が進み、現金を持ち歩かなくてもモノが購入できたり、様々なサービスを受けることができたりします。

クレジットカードカードも普及し、その場で現金を持っていなくてもモノを購入することができます。

キャッシュレスのサービスもが大きく進歩し、国や時代もキャッシュレス化を推し進めていますが、果たしてキャッシュレス化は本当に便利で皆さんにとって有益なものなのでしょうか。

ここでキャッシュレス化について考えるにあたり、現金を使うことによる心理を見ていく必要があります。

現金を支払うことによる心理を明らかにした研究がありますのでご紹介します。

ソーマン(2003)は商品価格の提示方法や代金の支払い方法の違いで支払許容額(個人がある商品に支払ってもよいと考える最高額)が変化する心理として「支払いの実感度」を提唱しました。


【支払いの実感度とは】
①現金での支払いは資源の減少を目の前で目撃することにより、支払いの実感度は高くなり支払許容額は低くなる。
②逆にクレジットカード支払いやオンライン決済は資源の減少が見えにくいため、支払いの実感度は低くなり、支払許容額は高くなる。
③現金に焦点を当てても硬貨よりも紙幣の方が支払いの実感度は低くなる。

 

この研究による支払許容額というのは「個人がある商品に支払ってもよいと考える最高額」であって個人で額は変わってきます。

つまり、この実験では現金を使うことの方がキャッシュレス化された支払いよりもお金を使うことに抵抗があることを明らかにしています。

逆を言えば現在キャッシュレス化が進み、支払い許容額が高くなることによりサービス提供者は得をする可能性があります。

現金で支払うこともキャッシュレス化を進めることもどちらもメリットとデメリットがもちろんあります。

キャッシュレスで買い物する時は、現金で支払うよりも支払う額が高くなってしまう事実を知っておくことは重要です。

皆さんの学びにのお手伝いができれば幸いです。

 

【参考文献】

ソーマの研究は

oman, D.(2003)The Effect of Payment Transparency on Consumption: Quasi-experiments from the field, Marketing Letters, 14(3), 173-183.

 

イケメンや美人が得ばかりするのか論争【根拠を持って決着させます】

こんにちは伊勢です。

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本日のテーマは「イケメンや美人が得ばかりするのか」についてです。

前回のブログで外見的魅力(イケメンや美人のこと)がある人が、初対面の人から親切にされることを書きました。

その時のブログについてはこちらをご覧ください。

isetada.hatenablog.com

 

もちろん人との関わりなので、外見に自信のない人でも、コミニケーションをしっかりとることで周りの人から優しくされる事は大いにあり得ます。

では外見的魅力がある人が、常に他人から優しくされ、得をするものなのでしょうか。

外見的魅力は人の印象を決める上で重要な手がかりになりますが、人との関わりや使い方によってはマイナスに働くこともあるようです。

外見的魅力がマイナスの方向に働いてしまうことを明らかにした研究があるので見てみましょう。

外見的な魅力が悪い方向に働くことはあるかどうかをシガールとオストローブ(1975)は「模擬裁判実験」をとして明らかにしました。

 

実験内容
①実験参加者は模擬裁判で容姿の異なる女性の写真を見て、被告に対してどのくらいの刑罰が適当かを判断する。
②犯罪は「盗み」と「詐欺(男性をだましてお金を取る)」の2種類。
③被告人は3種類の女性(A.魅力的、B.魅力的じゃない、C.写真なし)。
④外見的な魅力のちがいで刑罰の重さに違いはあるのか。

実験結果
①「盗み」に関する刑罰においては「A.魅力的な女性」は他の2人(B,C)に比べて刑罰が軽くなった。
②しかし、「詐欺(男性をだましてお金を取る)」に関する刑罰においては「A.魅力的な女性」は他の2人(B,C)に比べて刑罰が重くなった。
③美人な女性はその美貌の利用の仕方を誤ると評価を落としてしまう。

 

この研究から言える事は一般的なマイナスな事象に関して言えば、外見的魅力がプラスに働きそうですが、一度その外見的魅力を利用したと判断された場合、通常よりも重い反応が返ってくることがわかります。

簡単に言えば、

 

「可愛いのはわかるけどあまり調子に乗るなよ」

 

ということになります。

以前あるテレビ番組で、美人が得をすることをこの実験を出して主張していました。

この実験は外見的魅力は良い方向にも悪い方向にも働くことを主張しているにも関わらず、番組の都合で一部のみ切り取られて放送されていたことに腹立たしさを感じたのを覚えています。

外見的な魅力は環境によって、立場によって、評価する人の好みによっても変わってきます。

人の第一印象を決める上でとても重要な要素になりますが、やはり謙虚にそしてしっかりと人とコミュニケーションを取れる人が信頼関係を築けることを研究です。

私も、嘘偽りなく、皆さんの学びのお手伝いができると幸いです。

 

【参考文献】

シガールとオストローブの実験は

Sigall,H. Ostrove, N(1975)Beautiful but dangerous : effect of offender attractiveness and nature of the crime on judgment. Journal of Personality and Social Psychology. 31. pp.410-414.

 

イケメンや美人は得をするのか【心理学から読み解いてみる】

こんにちは伊勢です。

このブログではビジネス、教育、恋愛など皆さんの周りに起こる様々な現象を心理学的に考察していきます。

今回のテーマは「イケメンや美人がえこひいきされるか」についてです。

心理学的にはイケメンや美人のことを「外見的魅力がある人」されています。

外見的魅力もその人の立場や評価する人の好みによって変わってくるので、周りからイケメンと言われている人が必ずしもみんなが思うイケメンであるとは限りません。

ただ外見的魅力がある人が外見的魅力のない人よりも得をするかについての論争は噂程度の話ですが、よく耳にします。

果たして外見的魅力がある人は本当に得をするのでしょうか。

得をする、損をするというのはいろんな要素がありますが、外見的魅力がある人の方がそうでない人に比べて、初対面の人からは優しくしてもらえる傾向があるようです。

外見的魅力がある人がが初対面の人から優しくされることを明らかにした研究がありますのでご紹介します。

ベンソン(1978)はイケメンや美人が他人から親切にしてもらえることを実験を通して明らかにしました。

 

実験内容
①持ち主の顔写真が貼ってある書類を公衆電話のブースにわざと置き忘れる。
②持ち主の写真は「A イケメンな男性」、「B 美人な女性」、「C そうでもない男性」、「D そうでもない女性」の4つのパターンで、書類には切手が貼ってあり、あとは投函すればよい状態になっている。

 

【実験結果】
①計604名(男性442名、女性162名)の公衆電話の利用者のうち書類をポストに投函してもらえた割合は「A」と「B」が47%、「C」と「D」が35%となった。
②どちらの結果にも男女差はなく、顔立ちが整っている男女の方がそうでもない男女より他人から親切にしてもらえることが明らかになった。

 

ベンソンの研究によって、外見的魅力のある人の方が外見的魅力のない人よりも初対面の人に親切にされるということが明らかになりました。

ただこの研究では、初対面の人に限っています。

たとえ外見的魅力自信がなくても、コミニケーションをうまくとることができれば、相手との信頼関係を築くことができ、他人から親切にしてもらえる事は大いに可能です。

人の印象というのはいろいろな要素が絡み合って決まります。

大事なのは、事実を受け止めることにあります。

事実を受け止めることで、次の対策や一歩が踏み出せます。

しかし、今回の研究に限っては、外見的魅力がある人の方が得をすることを確認しましたが、他の研究では外見的魅力が時にマイナスに運ぶこともあるようです。

こちらもまた次回のブログでご紹介します。

皆さんの学びをお手伝いができれば幸いです。

 

【参考文献】

Benson, P. L., Karbenick, S. A., & Lerner, R. M. 1976 Pretty please: The effects of physical attractiveness, race, and sex on receiving help. Journal of Experimental Social Psychology, 12, 409-415.

才能教育の決定版【学術的根拠あり】

こんにちは伊勢です。

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本日のテーマは「才能開花」についてです。

皆さんは「才能」と聞くとどんなイメージをもちますか?

生まれ持って備わっているもの。

努力ではどうにもならないもの。

運によって手に入れられるもの。

自分には才能なんかないと落ち込んでいる人も多いと思いますが、最近の研究では才能は生まれもったものよりも、環境によってその才能を獲得し開花させる方が圧倒的に多いことが明らかになっています。

例えば才能開花における研究として、とても有名なのは1万時間の法則です。

ある物事を1万時間続ければ誰でも才能が開花してプロフェッショナルになれるというものですが、これは少し語弊があります。

才能開花において先進的に研究をしていたのがブルーム(1985)とエリクソン(1993)です。この2人の研究によって才能教育の研究は一気に加速度を上げました。

では2人の研究による才能開花における条件を見ていきましょう。

 

【才能開花に必要な条件とは】
①才能を開花させるためには、特定の分野に対して高度に洗練された練習活動(deliberate practice)を行う必要がある。
②そのdeliberate practiceを1万時間行えば才能を開花させることができる。
③deliberate practiceを1万時間行うには適切な目標設定と支援が必要である。

 

ここで大切なのはただただあることを1万時間行うだけでは不十分だということです。

1万時間というのは非常に長い時間です。

1日3時間毎日練習したとしても10年かかる計算です。

例えば野球が上手くなりたいとしたとして、素振りだけを毎日3時間を10年続けたとしても本当に上手くなるでしょうか?答えは「ノー」です。

野球が上手くなるためには走力も筋力も鍛えなければいけませんし栄養面や心理面からも鍛える必要があります。

つまりその人が才能を開花するために必要な環境を設定することが必要なのです。

もちろん練習活動はただただスキル獲得に向けた活動だけではありません。

私が昔、研究対象としていたやり投げの全日本学生のチャンピオンの男の子がいました。

彼は朝起きてまず自身の投げのイメージを作り、その日一日中歩く時の足の設置や体のひねりなどずっと動きを意識していました。

使えそうな動きがひらめいたら即座にメモを取り練習で試していました。

夜寝る前はその日行った練習の復習をして良いイメージを持ってベッドに横になるそうです。

彼にとっては寝ている間も含め24時間自身の競技と向き合いスキルを獲得した結果、日本一まで登りつめた言えるでしょう。

こういう話を聞くと、才能を開花させたと思っている人たちは誰よりも努力をし、誰よりも犠牲をはらって今に至っています。

そういう人たちに対して、

あいつには才能があったからあそこまでいけたんだ。

と、軽々しく思うのはむしろ失礼なことかもしれません。

 

努力は必ず報われる

 

という言葉がありますがますが、これには少し言葉を足さないといけません。

 

適切な支援と環境設定と方向性を伴う努力は必ず報われる

 

誰しもが持ち得る才能開花をさせられるような情報提供もしていけたらいいなと私自身思っています。

 

【参考文献】

① 1万時間の法則については

Bloom,B.S.(1985)Developing talent in young people. New York : Ballantine.

② deliberate practiceについては

Ericsson, K, A., Kramp, R, T., and Clemens, T, R.(1993)The role of deliberate practice in the acquisition of expert performance,Psychological Review 100(3):363-406 .